街
私は街が好きだ。
それも住宅街より商業地の繁華街。
テナントビルの合間に人が住んでいるような場所では、誰もが自分に心地良い距離感で、人づきあいをしていて、多様に入れ替わる。ご近所づきあいなんて、そもそもそれくらいのゆるさがちょうどいい。
別に賑やかさを求めているわけじゃない。
だから1番好きなのは、朝。
燦く朝日に照らされて、夜の毒気がさっぱり抜けた街はどこかひっそりとしていて。
ゴミ袋をつつくカラスをよけながら、ランドセルを背負った子どもが、人気のない道を学校へと急ぐ。
どこからか湧いてくる活気が、喧騒を呼び醒ますまでの、ほんの数時間。そこには穏やかな静寂が確かにある。
不夜城の妖しい美男美女が、無垢な人に戻って羽根を休める時の街が、何とも言えず愛おしい。
6/11/2023, 3:29:43 PM