毎日、お世話になっているのに、普段は存在自体をあんまり意識していない。リビングの壁でずっと動いている時計がある。
それが突然、カラカラと音を出しだした。時計の針がぐるぐるとまわっている。何周かしたら、ピタッと今の時間になって普通に動く。
以前、こうなった時に時計が壊れたと思った。カラカラと回る頻度が増えてきて、そのうちに秒針の刻みが一足飛びになった。そして何日かすると、ピタッと時計が止まった。
いよいよその時がきたと、時計を外して裏返すと電池に気づいた。あ、そうか電池か。そんな基本的なことを忘れていた。入れ替えるとまた、無事に動き出した。
ぱたっと止まるのではなく、電池がないことを段階的に教えてくれるのだ。何となく時計が、けなげに見えてくる。今度は早めに入れ替えようと、壁からそっと外した。
「時計の針」
2/7/2026, 7:46:54 AM