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街を目指す。
宿屋を出て、知らない場所を転々とするのは、私にとって苦痛でしかなかった。
しかし、やめるつもりはさらさらなかった。
安息の地を探すことは、一生をかけてでもしなければならない。

その街は他の街と大差ないように見えた。
しかし、大きく違っていた。
やってきたよそ者を迎えに、家々から人が飛び出してくる。
彼らの目は希望に満ちていた。
私は荷台から荷物を下ろし、人々にお見せした。
歓声が上がる。こちらに走りよってくる。
彼らは荷物ではなく、私の方に全員で抱きつくように囲み、私の訪れを祝い、体の調子を心配した。

私は疲労でこわばった表情をしていたが、心の内は彼らと同じくらい喜びで震えていた!

どの街にいっても人はいない、いたと思い駆けつければとっくに息絶えている。もうこの世に人は生きていないのではないか。私は人と暮らすことが叶わないまま死んでいくのか。
そう思っていた。

飢えながらも旅人を受け入れる彼らの背中に手を回す。
ようやく手に入れた安息の地で、安心しきった私は眠気に襲われ、彼らの腕の中でまどろみ始めた。

1/28/2024, 10:21:15 AM