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風に乗って、あなたの香りが飛んでくる。

その風は君の髪をなびかせる。

恋は風に乗って、想いを届ける。それは香りだったり、手紙だったりするだろう。形は様々だ。


君が死んだと、風の便りに聞いた。病死だそうだ。
君は海が好きだった。だから、骨は遺言通り海に撒かれたらしい。

私の涙も、いずれは海に流れ君と一緒になる。ああ、それは望ましい。そんな幸せはない。

だけど、その前に。君の骨が、その粉が。風に乗って、私の元へ飛んで来ないかと、帰っては来ないかと、海を越え、私は空を見上げた。

4/30/2023, 8:57:53 AM