春、はじめて会った君はスズメのように可愛らしい女の子だったから、僕は一目で君を好きになってしまった。
こんなに魅力的な君なのに、恋人がいたことがなかったことに驚いた。しばらく一緒に過ごしていくうちに、僕と君は両思いだと確信した。
夏、君と夏祭りへ行った。青い浴衣を着た君はカワセミのように綺麗だった。
最後の花火が打ち上がる直前、僕は君に告白した。すると君は涙を流してこう言った
「ごめんなさい…」
この日以来、僕は君と距離をおいた。
秋、君は突然入院した。それきり帰らぬ人となった。
後からきいた話、春の時点で君は余命半年と宣告されていたそうだ。
だから君は今まで特定の恋人を作らなかった。
だから君はあの日の僕の告白を受け入れなかった。
そうとも知らず僕は。後悔が押し寄せてくる。
春に現れて秋に空に飛び立って行っちゃうなんて、君はまるで渡り鳥のツバメみたいだね。
そんな感想を抱いてしまったせいで、毎年渡り鳥を見かけるたびに、今でも君を思い出してしまうんだ。
5/30/2025, 12:02:17 AM