あれは確かに人影だった。
私は恐る恐る、再びカーテンの隙間から窓の外を覗いてみることにした。
ふと目線を上げると、雨雲で暗く覆い尽くされた空。
そこから激しい雨がもうずいぶん長いこと降り続けている。
だから、「普通」はいるはずがないのだ。
傘もささずに豪雨の中で佇む者など。
しかし、窓の外にはその「普通」でない者が確かにいたのである。
雨の中で佇む男は、拡げた両手を高く掲げていた。
まるで空から落ちてくる何かを受け止めようとするかのように。
「雨に佇む人」
8/28/2024, 8:35:21 AM