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海の彼方に、まだ見ぬ島があるのなら、行ってみたい。
海より深きもの。
海より恐ろしいものはない。
嵐の日に。
凪いだ風の日に。
航海の日に。
私は毎日、航海日誌をつけている。
航海長、それが私の肩書きだ。
海より深淵を隠したものは地球上に存在しないと、私は考えている。
「皆の者! 帆を張れ! 風をきって大海原を行こう!」
「航海長のお達しだ! 全速前進!」
と、船長のエスメラルダ・ドルカスは言う。
彼女は、このエーゲ海きっての大海賊で、海賊旗はエメラルド色に、ラムの樽、刃。
風をいっぱいに受け、旗は揺れる。
そうして、大海原に波跡をつけながら、進んでいく帆船。
風は吹いている。
私たちを祝福する風が。
船頭につけられた、アテネの神様が、海図と共に行く先を示す。
行く先は、黄金の国ジャパン。
船は、大量のラム酒を詰め込み、さあ出発だ! と息をあげる船長は、長い旅の始まりに、歌を歌った。

8/23/2023, 10:15:46 AM