子猫を拾ったら、そいつはとても可愛かった。メスの三毛猫で、名前は「小夏」
真夏に拾った子猫だから、小夏だ。
そして、俺が拾ったのは小夏だけではなかった。
「彰(あきら)君。お弁当作ってきた!」
「💢いらない」
「あっ!ねえ、彰君っ!」
小夏を拾った時は、真夏だったからと言ったけれど、その時は雨が降っていた。
よく聞く、不良が雨の中、捨てられた猫を拾う姿にトキメクとかいうやつ。
俺はそれに当てはまってしまい、同じクラスの林(女子)にみられてしまっていたのだ。
それから今日まで。ず〜っとああやって付き纏われて当たる。
うざったい……。
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「小夏。お前は美人でかわいいし、あんまりにゃーにゃー言わないな……
見せてやりたいやつがいるよ。小夏のこの姿……静かで、大人しくて、かわいい。」
小夏のこの静かさが、俺には心地良かった。
林も、小夏を見習ってくれないだろうか……
「……小夏。あいつ、何であんなに騒がしいんだろう。ほんと、うるさいんだよ。」
「にゃ〜?」
俺は横になった。横になった俺の顔の所に小夏は近付いてきて、可愛い鳴き声を出す。
俺はそんな小夏の頭を、優しく撫でる。
「………うざいし、しつこいし、目障りだなって、思うときもあるけどさ……
……林が俺に話しかける様になってから、クラスの人も、俺に話しかけてくれる様にやったんだよな…」
俺は強面の見た目で、先生にも時たま反抗す。そんな姿を見て、同級生達は距離を取っていたが、明るい林が俺に話しかけているのを最近よく目にする為、無害扱いをされたらしく、少しずつではあるが、クラスの同級生達は、俺に話しかけてくれる。
俺は、それが何だかとても嬉しく思った。
「……ほんとうは、林にも、感謝しなきゃだよな……」
小声でそういったあと、メールがなった。
林からで「こんにちは。晩ごはんなに?」
というくだらないメールを寄越してきたので、さっきのことは撤回しようかと思う俺だった。
11/16/2023, 6:23:00 AM