雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―大事にしたい―

目が覚めた。
久しぶりに目覚まし時計より早かった。
朝だ…と思って伸びをして、時計を見たけれど、
日付は変わったばかりだった。
もう1回寝ようと思って横になったけど、寝るに寝れない。
私は諦めて、リビングにいった。
もし彼がもう起きていて、リビングにいてくれたら、
なんてちょっと思ったけど、やっぱりそんな筈はなく、
リビングは暗くて誰もいなくて、シーンとしていた。
寂しいな…なんて思いながら、ソファに蹲った。
顔を上げて、リビングを眺める。
あなたがいないだけで、いつものリビングが
こんなに広く感じられる。
ボーッとしてると、不意に頭が空っぽになって。
心がゾワゾワして、恐怖心に駆られた。
急に、一人ぼっちになってしまったような感覚に襲われた。
孤独感に打ちひしがれた心臓がドクドクと煩かった。
何が怖いのか、全く分からない。
怖さがおさまる方法も分からない。
両膝を抱えて結んでいた手の甲に、
キラッと光る何かが落ちた。
そこでやっと自分が泣いてることに気がつく。
どうしても止められない
これってなんの涙なんだろう。
その時、彼のものと思われる足音が聞こえた。
あの人が近づいてくる音にホッとした私がいる。
「あ、おはよう。起きてたんだ?でもまだ1時…」
安心する低い声と一緒に、彼が現れた。
私の姿をソファに見つけると、
彼はそこで私が泣いていることに気づいた。
「っ!?どうしたの?なんで泣いてるの?」
彼は慌てた。そりゃそうだろう。
起きたら彼女がわけも分からず泣いてたなんて。
『…なん、か、わかんっ…ない、けど、こわ、くて…
なにが、こわいっのか、も、わか、なく、て………あと…』
「ん?」
『ちょ…っと、寂しっか、た…』
私は正直に話した。変に思われるかもとは思ったけど、
しゃくりながらだったけど、ちょっと照れちゃったけど、
話した。
「そっか、そっか。寝れなくて怖くて、寂しかったんだね」
彼は優しくそう言って、私の隣に座り、頭を撫でてくれた。
優しくて、温かくて、安心する手。
「じゃあ、朝が来るまで、こうしてよっか」
『…ん』

誰かの足音が聞こえて、ちょっと心配で、様子を見たくて、
ゆっくりと起き上がり、時間を確認した後、
そっと足音の消えた方―リビングへ行った。
…まぁここには俺含め、2人しか居ないから、
誰かと言っても消去法で彼女しかいないのだけれど。
リビングは電気が消えたままだった。
驚かさないようにと思って、足音を立てて、声を出す。
リビングに入ると、彼女はソファに蹲っていて、
その上泣いていた。俺は驚いた。なんで泣いてるんだ?
聞くと、彼女はしゃくりあげながらも、話してくれた。
何がなぜ怖いのかも分からないけど、
何か怖くて、寂しかったんだと言う。
なにそれって、思ってしまった。
でも、それ以上に可愛いなって思った。
揶揄うのは良くないなって思ったから、できるだけ優しく、
彼女の隣に座り、頭を撫でた。
『じゃあ、朝が来るまでこうしてよっか』
そう言うと、彼女はこくんと小さく頷き、
こてん、と、俺の肩に頭に乗せた。
もう、どこまで可愛いんだか。
俺は彼女の背中を一定のテンポで叩いて落ち着かせながら、
2人で朝を待った。

――特に何もすることなく、ずっと近くにいる、
こんな優しくふんわりした時間。
普段はこんなことあまりしないけど、
こうやって2人でじっとしている時間も、
大事にしたいな――

9/20/2022, 12:01:48 PM