旅路の果てに
重い荷物をおろして、扉を閉めて宙を見上げた。このまま旅に出ようかと、口元は歪んだような笑みを浮かべていた。
風は冷たいはずなのに、真っ暗な世界は不思議と温かい。
僕の背中には、まだ荷物の重さがこびり付いていて、離れない。「君には責任があるんだ」と、そいつは肩を叩いて足枷を付けた。
分かっている。
旅路の果てに在るのは、自由への代償。
罪悪感と自己嫌悪と墮落の日々。
僕は、温かな皮を被った「まいにち」を捨てられない。
閉めた扉をもう一度開けて、重い荷物を運ぶことした。
誰も気が付かず、運ぼうともしない。
僕の想いも、ついでに詰め込んで。
1/31/2023, 12:29:09 PM