ノーネーム

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ただひたすらに走らせていた
そのペン先がふと止まった

書き続けなければいけないのだ
早く、早くこの物語の結末を書き切って

終わらせてしまいたいのだ
僕の手を、僕自身の事も

楽しかった事も嫌だった事も
同じだけあった
希望も失望も両手から溢れるほど
抱いてきた

だからなんなのだろうか

得たものと失ったもの
どちらが多いかとか

涙の数と嘘の数を
足したり引いたり

愛と金はどちらが重いか
壊れた天秤とにらめっこして

面倒くさくなって
何度もペンをへし折って

酸いも甘いも味わって
どんな後味でも僕には無意味で

物語の結末も決められないまま

巡る四季の色を眺めて
その中で僕は
ただ、ただ過ぎた日を想うのだ

10/6/2023, 1:49:36 PM