瑪瑙

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僕は正解を探していた。
学校の宿題の答えじゃなくて、
どうしたら君と友達でいられるかを。
僕らが出会って5年が経った。
僕らの出会いは、ごく普通の、中学の入学式の日。
何か特別なことがあったわけではない。
僕の後ろの席が君だっただけ。
僕は小学校卒業の時に引っ越したばかりだったから、友達なんかいなかった。
そんなときに、少しずつ喋り始めたのが君だった。
ごく普通の出会いから、僕らの仲は特別なものになった。
僕らは周りから見たら、親友と呼べるものだろう。

でも、君と出会って5年が経った今、僕は引越しを控えていた。
父の転勤が多いために、幼稚園の頃から転校を繰り返していた僕にとって、君は1番の友達だった。
僕は君に問うた。
「僕が引っ越しても友達でいてくれる?」
君は答えなかった。
君はそういう人だ。
肝心な時は少し逃げる。

遂に、引越しの日になった。
君と出会って、仲を深め合った日々がたとえ、間違えだったとしても、僕は君と友達になれて嬉しかった。
僕だけは、いつまでも君と友達でいたいと思っている。
父に呼ばれた。
「もう出発するぞ」
「うん」

「待って!」
車に乗り込もうとした僕に話しかけたのは君だった。
「これ、持って行って」
君は手紙を渡してくれた。
「またね」
君は言った。


手紙にはこう書いてあった。

───「いつまでも僕の1番の友達でいてください」

4/22/2024, 12:42:15 PM