—届けたい想い—
ここから見下ろす、まばらな人の頭。
私が気にかけている彼はいない。
『明日の文化祭、十時に体育館のステージで歌うんだ。
もし時間があるんだったら見にきてよ』
このメッセージを送るのに、どれほどの勇気を振り絞っただろうか。
既読がついてからは落ち着かなくて、何度もスマホを見返した。
一時間後、ようやく返信がきた。
『わかった』
そっけない返事だったけれど、メッセージが返ってきただけで、私は嬉しかった。
「こんにちは、軽音学部です。——」
十時になった。彼の姿はみえない。
茶番を引き延ばして、時間稼ぎをした。
私が作った曲を聴いてほしいから。
「それでは」
その時、入り口から人影が入った。
息を切らして、膝に手をついている。
彼は顔をあげると、手にしていたペンライトをこちらに向けて振った。
「聴いてください。『My Heart』」
私は、彼の目をまっすぐにとらえて言ってやった。
お題:My Heart
3/28/2026, 12:28:05 AM