まつれん

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「つまらないことでも」

私は今見知らぬ土地の喫茶店。古い壁と洋風のライトが薄く照らすなか、全く興味のないコーヒーと店主の趣味の神社の話を聞きながら、苦味しか伝わってこないコーヒーに砂糖を気持ち多めに入れて何も考えずに呆けた顔でその時間を過ごす。いつもはコーヒーなど飲まないし、喫茶店では甘いスイーツを食べて帰る。ましてや神社のお話なんて、はっきり言ってつまらない。そういう私は好きだった女性に振られてしまい、家にいても落ち着かないため見知らぬ土地の見知らぬ喫茶店でつまらぬ話を聞いていたわけだが。いつもは子供のようにはしゃいでしまうほど面白いことでも、拷問のようにつまらないことでも、あの日だけは全てがつまらなかった。その日のコーヒーは今じゃ味も忘れて、覚えているのは振られた時の乾燥した口の苦味だけ。どうしてあんなつまらないことを言ってしまったんだ。

8/5/2023, 3:05:36 AM