落下
フアフアと浮かんで漂っていた
白い雲の隣で止まり雲に乗ってみた
白い雲の上で寝転んで鼻歌を歌ったり
頬杖をついて来た道外界を覗いたり
高いところは怖かったけど
そこは全然怖くなくて
ただ 懐かしい気持ちになった
寂しくて懐かしい気持ちになって
振り返ると遠く白く続く雲の彼方から
光が届いて その光は眩しくて温かくて
ゆっくりと立ち上がり 光の方へ向かい
歩きだすと 誰かが呼ぶ声が聞こえた
ふっと 瞬きをした瞬間に勢い良く
落下し始めた 急転直下に真っ逆さまに
落ちてDesire♪・・・じゃなくて
ぐんぐん落ちた どこまで落ちるのだろうと
思った時 ようやく辺りを見廻すことが出来た
さっきまで 明るかった世界が闇に変わり
遥か遠くに星屑が煌めいていた
その時父と母の顔が見えて
手を伸ばしたが届かなかった
連れて行ってと言ったが聞き入れてはもらえなかった ようだった
父と母は微笑んでいて泣いていた
目が覚めた
病院のベッドの上 私は沢山の管に繋がれていた 家族が私を呼んでる もう一度目を閉じた
父と母の姿が見えた 頷いていた
私は 瞬きをしながら また目を開けた
家族の顔がハッキリと見えた
あれって
臨死体験ってやつなのだろうか…?
それから、随分と受け入れ難い
現実が待っていたが
連れて行ってもらえなかったのは
まだ、生きなければならないということ
なのだろう 雲の上でフアフアと浮いていて
真っ逆さまに落下して 生き返った
だから、まだ生きている(笑)
6/18/2024, 3:16:17 PM