微睡みの中

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【#19. 素足のままで】
私はあなたの隣に行きたくて
あなたへの道を辿ろうとする
その道はガラスや小石がたくさんあったけど
土足厳禁
友達を装うかのように思いを殺して
素足のままであなたの元へ進んでいく

あなたの元へ着いたときには
私の足はもうボロボロで

でも
そんなのどうでもよかった
せめて私の中を、首から下だけでも
愛して欲しかったから

するとあなたは私を見てくれた
あなたから振り向いてくれた
そう感じた

あなたは私と手を結んでないのに
首から下を愛してくれた

だから私はもっと愛して欲しいが
大きくなって求めた

でもあなたは首から下で十分だと言った

どうして、私を愛してくれるんじゃなかったの

素足なままな足を抑えながら、見せつけながら
その気持ちを胸の中で殺した

あんなことやそんなことを言って
散々私を素足にさせて怪我させて
首から下を愛してくれたあなたに
わたしはこう言った
やっぱりクズ男だねって。
私が言ったとき、あなたはどこか遠い目をして
教室で聞かない落ち着いた声で
「傷付いた…」
その声は悲しい声色じゃなかった
そしてあなたはこう言った
「俺みたいな男に引っかかったら駄目だよ」って。

家に帰ってからも思いを頭に浮かんでは無理やり消して
首から下を愛してくれる関係は駄目なのに
まだあなたの元へ素足で駆け寄りたいと考えている私はいつまでたってもボロボロな足
綺麗な、ガラスも小石も落ちてない道を通れば
素足のままで踊って、廻って、歌って、綺麗に着飾って、キラキラJKだって胸を張れる
輝けるって分かってる

でも私は今日も私は素足のままで、
目的地をあなたにして歩いて行く

私の足はガラスが刺さり、そこへ小石が穴を開けていく
愛がその穴からこぼれるように
それを塞いでくれるのを待つかのように
"首から下だけでも"とあなたの元へ駆け寄っていく

8/26/2025, 3:29:48 PM