幼い頃から上手く
空を飛べなかった私は
皆が大きな翼を広げて飛ぶ姿を
ただ下で見ていることしか出来なかった。
高い所から飛び立ったとして
羽を動かせないまま落ちてしまったら
そう考えると羽は縮こまり足はすくんだ
そんな時 小さな羽を持った
私と同じくらいの歳の子、君に出会ったんだ
君は何度も、何度も 飛び立っては落ちて
飛び立っては落ちて
「怖くはないの?」そう声をかけると
君は「怖いさ、怖いけれど挑戦しなくちゃ」
「もしかしたらやっている内に
飛べるようになるかもしれない。」
そう答えると、また君は飛び立った
挑戦してから120回目
「やっぱり、無理だよ。」
そう思った時、君はグーンっと高く上がった
小さな翼はとても力強く
他の羽とは比べ物にならないほどに輝いていた。
そんな君を見て笑みが零れた
でも、君とは違って挑戦することが怖い私
涙を隠すように君に背を向け家へ帰ろうとした時
君は迂回して私の元へ来た
そしてそのまま片方の翼で抱き抱え
ふわりと宙を舞った。
段々と普段見ていた景色が小さくなっていく
深く息を吸った。
風を感じ自分の羽を広げ目を瞑る
気づけば無意識に動いている翼
目を開けると君は少し離れたところで飛んでいた。
5/5/2023, 10:45:20 AM