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   「平穏な日常」


部活が長引き遅くなってしまった。
歩くスピードが徐々に早くなる。
いつの間にか小走りになっている。
早く先輩に会いたい…

「じゃぁ放課後、図書室にいるわ」

息を切らしながら図書室の前に着き扉に手をかけた瞬間どうしょうもない不安に苛まれた。
先輩…待っててくれてるよね…
「ふぅーっ」
乱れた息を整え意を決して図書室の扉を開けた。
あたりを見渡すと一番隅の窓際の席に頭を伏せて寝ている先輩が見えた。
机の上には私の好きなジュースが置いてある。
「はぁ~何なんですか…先輩…ズルすぎます…」
私は先輩の隣に座り寝顔を見つめていた。
「寝顔初めて見たなぁ、私のはいつも見られてるけど…」
「先輩…私の知らない先輩…まだまだたくさんある」
「もっともっと知りたい…」

「先輩…好きです…」
つい言葉に出てしまった。

「俺も…お前が好きだよ…」

「えっ!」
鼓動が早くなる。感情が溢れ出しそうになる。
気を許したらすぐにでも泣いてしまう。
「すぅ~すぅ~」
「寝言?」
私はいっきに身体の力が抜け床に座り込んでしまい
と同時に抑えていた涙が溢れ出した。
「先輩…夢の中だけど…私のこと…」
「それだけのことなのに…こんなにも嬉しい…」

「んん〜っ」
「うおっ!お前来てたのかよ!…なんで泣いてんだ?」
「どうした?」
戸惑ってどうしていいか分からない様子の先輩に
私は感情のままに抱きついた。

先輩との日々を少しずつ変えたくて
でもそれだけじゃ足りなくて
あんなの聞いたら私…もう戻れない…戻りたくない…前に歩き出すって決めたんだ
この感情をもう止められない…
今日先輩に全部届けるんだ。

3/11/2023, 3:18:15 PM