本当は、引き止めたかった。
本当は、特別になりたかった。
本当は、誰よりも大好きなのに。
解ってたよ、君が特別になりたいって思ってたこと。
だって、僕もそうだったから。
でも、怖かった。
君の特別に、僕がなっていいのかと怖くて堪らなかった。
いつだって君はあの世界の中心で。
慕われて、尊敬されて、君自身、上を目指すことを常に考えているようなすごい人で。
でも、僕はそうじゃない。
僕はいつだって君の足を引っ張ってばかりの劣等生。
本当は、君の隣に居ることすら悪いことなんじゃないかって思ってた。
だから、言えなかった。
君が今にも泣きそうな顔でさよならを告げた時。
”行かないで”なんて、言えなかったんだ。
行かないで
10/24/2023, 11:46:58 AM