詠み人知らず

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空の青さに誘われて玄関の外に一歩足を踏み出した瞬間に北風に襲われる。
窓から見える天気の良さとテレビで箱根を疾走する学生達に感化され、正月に溜め込んだカロリーを少しでも消化しようと動ける服装に着替え意気揚々と家を出ていった手前、北風に心が折れたとすぐに家に帰るわけにもいかない。
いっそ雪でも降っていれば「走ろうと思ったけど雪だからな…」と誤魔化せたのに。普段は嬉しいはずの太陽が恨めしい。
正月に振る舞われた御馳走とお酒で心なしか重くなった様に感じるお腹を揺らしながら、歩いているのだか走っているのだかわからないスピードで進むこの行為もある意味冬の風物詩かなと思う。そして、来年は絶対に駅伝を観ても走るなんて思わないぞという決意を来年見事に忘れる所までが様式美と言える。

1/5/2025, 3:55:56 PM