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飛べない翼

私には生まれつき片方の翼しかなく、周りのみんなのようにうまく飛べなかった。すると周りの子達は自分よりもできないやつを見つけて、避けず踏むようにして笑っていった。時には「汚れ者」と呼ばれ奴隷として働かされたこともあった。でもそんなところをこっそり抜け出して、路地で倒れていた私に優しく手を差し伸べてくれたのは、私と同じ片方の翼しかない少年だった。私はその少年となら空を飛べそうな気がした。だから少年の手を取って「一緒に手を繋いで飛んでみよう」と提案した。すると、少年の目がパッと輝いてその瞳には無数の星が写っていてとても綺麗だった。少年と手を繋いで地上で軽くジャンプをしてみた。すると思ったとおり体が浮いて飛べるようになった。それから私はあの少年と共に暮らしている。手を取り合いながら、自分たちのペースで。

11/11/2024, 12:14:51 PM