あのすみません
その声で後ろを振り返る
自分よりも随分年下な女の子がいた
清潔感のある制服姿で
肩から下げたスクールバッグの肩紐を握りしめ
顔を真っ赤にして自分を見ている
街中のこのシチュエーション
何もない
何も起こらないと言い聞かせながら
自分の心臓が跳ね上がる
はい
唾を飲み込み返事をした
目が合えば女の子が肩で息を吸った
ズボンのお尻が割れてます
女の子はこちらに一礼をして
パタパタと走り去っていった
自分は手にした通勤カバンを
気持ち後ろ気味に持ち直して
駅のトイレまで早歩きした
『小さな勇気』
1/28/2025, 6:34:13 AM