「ねぇ…ねぇってば!!」
「なぁに?」
話し掛けてる最中もその手は止まらない。
「あのさー…俺がピーマン嫌いって知っててわざとやってる?」
俺の目の前の皿には、下には美味しい他の食材も入っているだろう料理の上にこんもりと盛られた色鮮やかなピーマン。
せっせと自分の皿からご丁寧にピーマンだけ選んで俺の皿に運んでいたその手を止めてにっこりと微笑まれる。
「まさかこの僕が丹精込めて作った料理が食べれないとか、そんな事ないよねー?」
サクッとピーマンの山にフォークを刺してそのまま俺の口に差し出される。
それを俺は意を決して口の中に入れた。
口の中に広がる苦味。
やっぱりどうしたって好きじゃない。
何とか飲み込んで水で流し込む。
「美味しいだろ?好き嫌いはよくないぞ!」
にこやかにご機嫌な彼は言い放った。
それを恨めしそうに見つめる事しか出来ない。
反論したら何をされるか。
「…やっぱりお前のこときらいだ」
ひっそりと彼に聞こえぬように呟いた。
問題は残りのこの緑の山をどう攻略するかだ。
何とか彼の機嫌を直して回避する策を捻り出さなくては。
目の前にはご機嫌にピーマンを差し出してくる強敵。
にこやかなのが逆に怖い。
俺は何をして怒らせてしまったんだろうか。
(好きじゃないのに)
3/26/2026, 10:20:09 AM