ゆう

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「それは極めて不規則な動きだった。」

仕事が終わり、
玄関を開け、
靴を脱ぎ、
ベッドに寝転がる。

たったそれだけのはずなのに、
ベッドに着いた頃、
私は息を切らしていた。

はぁはぁ…

ゼェゼェ…

私の部屋は、
足を置けるポイントが限られていた。
まるでツイスターゲームだ。

他はペットボトルやティッシュやレジ袋、etc…が散乱していて
目も当てられない。

なぜかって?
恋人が片付けられない人だからだ。

私?
数日前に腕を怪我してしまって、今は片付けられないのだ。
無理に片付けようとすると、
痛くて「ぎゃぴぃ!!」ってなる。

玄関からベッドまでの道のりは、
まるで登山かアスレチックでもしてるかのようだ。
部屋でこんな大股開きすること、ある?

動線はぐちゃぐちゃだ。
自分が歩んだ軌跡を線で結んだら、変な幾何学模様ができそうだ。

でも、坂の上に住んでいる人の方が長生きすると聞いたことがある。

運動になるからだそうだ。

じゃあ、この一見無駄に思えるこの動きも、
長生きに貢献しているのだろうか。

そう思うと、苛立っていた気持ちも
少しは和らいだのだった。




 跡
  終
   劇

4/30/2025, 1:28:26 PM