大好きな人だった。
絶望的な状況でも、逃げずに這い上がる姿を見て
「あぁ、この人みたいに生きることができたらな」
と想ったのがきっかけ。
周りの全員が自分に偏見を持っていても、負けずに努力し続ける姿。
どんな人にも優しく強くある姿。
やれやれと呆れながらも、やっぱりいつもまっすぐな目をしていて、そんな姿に憧れた。
住む世界は違ったけれど、間違いなく私の人生いちばんの大恋愛だった。
好きって直接伝えられなくても、一緒になれなくてもよかった。
あなたが存在してくれて、遠くから見ているだけで幸せだったのに。
突然告げられた別れ。ひどく一方的なものだった。
彼も、彼がいた世界も最初からなかったみたいに消えた。
彼が存在した証は手元にいくつも残っているけれど、彼はいない。
大好きだった彼は死んだ。
あなたがいたから頑張れていた。
こんな世界でも、あなたに会うためにずっとずっと我慢して、生きてきたのに。
もう、どうでもよくなっちゃった。
生まれ変わったら、同じ世界で生きられるかな。
次こそは、恋人同士になれるかな。
……途中で投げ出しちゃう、ダメな私には無理かな。
「ありがとう。大好き」
あなたがいたから幸せだったよ。
また来世で会えますように。
お題『あなたがいたから』
6/20/2024, 1:28:56 PM