梅雨が大嫌いだった。
湿気で髪がゴワゴワするし、雨ばっか続いて憂鬱な気持ちになる。
だけど、そんな不機嫌そうな俺の隣で「雨ずっとやまないねぇ」これでもうちょっと一緒にいられる。なんていたずらに笑う君が愛おしくて。
憂鬱なんてどっかに吹き飛んでしまった。
優しく笑う君の隣で「このまま、ずっと止まなきゃ良いのにな。」と呟いた。
それに応えるかのように添えられた桃色に染まる小さな手が俺にとってはこの世の全てで。
今日ばかりはこの忌々しい時期に感謝である。
『梅雨』
6/1/2022, 3:35:30 PM