すい

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私の1番の理解者であり、1番の味方だったあなた。

いつだって冷静で理論的で、だから人の感情には鈍感で。

でも、不器用ながら誰より私に優しい人だった。


私はあなたを、好きになりきれなかったの。

あの人を捨てることができるほどの深い愛を持てなかった。

あなたの側で生きるのは心地が良くて楽しくて、

でも安心の奥底にあった迷いをいつも消せなかった。

心のどこかであなたに妥協し続けて、
それは時々不満として降り積もっていった。

あなたと描いた幸せは、私の小さな妥協の上にあった。



私の1番の理想であり、1番輝いていた君。

素っ気なくて自分本位で、だからどこまでもずるくなれて。

でも、今も昔も誰より私を魅了した人だった。


私は君を、嫌いになれなかったの。

他の誰かを不幸にすると分かっていても止められなかった。

君の存在ほど私の心を揺さぶるものはなくて、
何をされても恨むことすらできなかった。

私を泣かすのはいつも君だったのに、
私に前を向かせるのも君だったから。

多才で見た目のいい君は、いつだって私の自慢だった。

君と描いた幸せは、私の小さな欲と我慢の上にあった。



人が持つ最も強くて、最も愚かな感情。

誰かの不幸の上に成り立つ、決して誰も抗えない欲。


私を最低な人間にしたのも、
あなたを泣かせ傷つけたのも、
君を弱くしずるくするのも、

愛なんていう愚かな幻のせい。



         ___好きになれない、嫌いになれない

4/30/2025, 2:29:46 PM