霜月 朔(創作)

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刹那


明日の夕暮れには、オレも、
その辺の道端で野垂れ死んでるかもしれない。
そう思うと、もうどうでも良くって。

幾ら身体や心が傷ついても、
僅かな金が手に入るならそれでいいし。
今、満腹になれるなら、と、
明日の食い扶持も使い果たして。

今が全てだと、刹那に生きる。

明日の朝には、オレも、
見知らぬ誰かに殺されてるかもしれない。
そう思うと、希望もなくて。

だけど。
こんな掃き溜めみたいな街から、
抜け出したくて、藻掻いてた。
でも、藻掻けば藻掻くほど、
闇は、沼のように身体に纏わり付き、
オレは底へと沈んでいく。

そんな時。
…そこに。
刹那の目をした貴方が、立っていた。

だからオレは…。
その一瞬に賭けてみようと思った。

4/28/2024, 2:55:52 PM