「ルールは破るためにある」
というフレーズを初めて耳にしたのはいつだったか。
あまり魅力的な響きではなかったが、書道をかじって守破離の概念を知ったときに、それは私の心の中でほんのほんのほんの少しだけ魅力を得た。
ルールを知らなければ、破ることなどできはしない。
法帖を臨書し、プロや専門生の作品を眺めて、「ルールを知る」というのがいかに大きな知識と研鑽の積み重ねであるかを実感してから冒頭のフレーズを反芻すると、たいへん高い志だなと感じ入ることがないでもない。
……などとこじつけてみたが、やはり響きが何となく軽薄に聞こえていまひとつだ。
ルールの中で暴れてこそ生まれる美しさもたくさんある。
守破離の守を怠ってはいい仕事などできぬ、という自戒を込めて、
「ルールは守るためにある」
と記して締めることにする。
4/24/2023, 12:41:04 PM