霧夜

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秋は良い。

夏のように暑すぎず、
冬のように寒すぎない、
丁度いい気温。

まるで綿毛のようなモコモコとした
雲が浮かぶ、澄み切った青空。

小鳥が歌声を奏でる中で、公園のベンチで静かに読書をする。

こんな些細な時間が、何気に好きだったりする。



現に今も、穏やかなに吹かれながら、一人で読書をしていた。

「おい」

「-----...うお...!?なんだ...?」

「...すまない、そんなに驚かすつもりは無かったんだ...」

驚いて振り返ってみると、そこには少しだけ申し訳なさそうに眉を下げたあいつが居た。

「なんだお前だったのか...何しに来たんだよ?」

「なんだとはなんだ、なんだとは...お前がそろそろ寒がってる頃かなと思ってホットココア持ってきたんだ」

そういうあいつの手には、ココアが入っているであろうタンブラーが握られていた。
確かに少し寒くなってきたなとは思っていた所なので、ちょうどいいタイミングだった。

「...ありがとな。二つ持ってるってことはお前も一緒に飲むんだろ?隣座れよ」

隣の空いてる部分をポンポンと優しく叩く。

「あぁ、そうさせてもらう」

そう言いながら、あいつは俺の横に座って、ついでにタンブラーもその時に受け取った。
蓋を開けてみると、ホカホカと白い湯気が立ち上り、甘い香りも同時に香ってきた。

ふーっ、ふーっと少し冷ました後に、ココアに口をつける。

「ん〜、やっぱり甘くて美味しいな...♪持ってきてくれてありがとな」

「そうか、それなら良かった」

あいつも、もう一つのタンブラーに口を付け、ホッと息を吐いていた。

去年までには、無かった光景。

新たに増えた楽しみ。

「...ありがとな...」

「ん?何か言ったか?」

「いんや?なんでもねーよ」

「そうか...そうだ、明日は初めから俺も誘え。今日はココアだけだったが、明日はサンドイッチも作ってやる」

「お、いいのか?」

「あぁ、今日明日は妹が修学旅行に行っていて居ないからな。はぁ...危ない目にあってないといいが...」

「そんなん気にしてたらキリがねーぞ。楽しんでるんだろうなとかもっといいこと考えた方がいいぞ」

「...それもそうだな、...ところで明日のサンドイッチの具は何がいい?」

「うーん、そうだな~」

明日もこんな楽しい時間が続く。

そんな幸せをかみ締めながら、明日の予定について話したのだった。

#秋晴れ
93作目


10/18/2023, 11:26:42 AM