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この季節になると私の視線は忙しい。

個人的に出会えればラッキーと思っているそれは
木の葉や木陰、景色に紛れ飛んでいる。

見つけても刹那の間にいなくなってしまうから
注意が必要だ。

美しい羽を持ち、
春から夏の終わりまでくらいしか出会えない
アゲハ蝶

特に、クロアゲハやアオスジアゲハがお気に入りだ。

通勤途中にある蝶道に
今日も蝶の姿はあるかなと
つい探してしまう。

好きな物や興味があるものというのは
とかく目につきやすい。
それというのも、
本人が自然とアンテナを張っているから、
らしい。

この時期だと
住宅街であっても
一頭や二頭の蝶と出会うのは難しくない。

わりと結構な数の蝶とすれ違っている。

これも自分がアンテナを張っているから
気付けたのだろう。

その一方で、
自分にとって興味のあるものだから
この世界がプレゼントしてくれたとしたら…。

「ほら、君って、これに興味あるよね。だから見せてあげる」
「こんなに蝶と出会えてどう?素敵と思ってくれたかな?」

そんな風に世界が用意してくれて
出会わせてくれていたとしたら…

そんな想像をするだけで
この他愛も無い自分という命を
祝福してくれているような気がして

この世界が愛おしく思えてしまう。

7/19/2023, 11:08:56 AM