ゆうやけこやけで日が暮れる。
そんな歌を口ずさみながら、あなたは私の隣を歩く。
少し外れた音、間違えた歌詞、最後のほうは覚えていなくて、声はそのまま消え入った。それを惜しいと思わないくらいには、私の居場所はあなたの隣だった。
夕日がうんと傾いて、あなたの顔が翳っていく。それが帰路の終わりの合図であることを知っているから、私たちは短い言葉を交わして背中を向けた。
別れがたくはなかった。だって明日も会えるから。
私の居場所が、明日も訪れることを知っているから。
明日の居場所が無かったのは、そんな惨めな傲慢のせい。
夕日は今日も綺麗なまま。
私の居場所は、今日もどこかに消えたまま。
4/7/2024, 10:51:25 AM