『モンシロチョウ』
祖母が亡くなった。哀しみの中お葬式やなにやらでバタバタとした数週間が過ぎ、一旦は元の生活に戻るも、そこから家族1人が居なくなった事を改めて実感した時、更なる哀しみが押し寄せた。
おばあちゃん子だった私は、いつまでも気持ちが沈んだままだった。そんな私をある日、祖父は散歩に連れ出した。
歩きながら祖父が言う。「人は亡くなるとその魂は色んなものに姿を変えて大切な人達の側に居るそうだ。時には風になり、時には雲になり、鳥や蝶や虫になる」すると何処からかモンシロチョウが飛んで来た。2人の間をひらひらと舞った蝶は、最後に私の右肩に降りた。「ほら、ばあさんが心配して見に来たぞ」私は蝶が飛び立たないように静かに動きを止めた。
5/11/2024, 8:13:39 AM