飛行用バイクを使う時に
いつも見ていた地図が
ついこの間強風で破れた。
その事を話したら
また地図が支給されるんだけど、
新しい地図は全く役に立たなかった。
そもそも書いてることが全部嘘だった。
その地図では
迷子列車の駅は地中に、
白雲峠は大海原にあった。
私が知ってるところは
ちゃんと違うってわかるんだけど、
知らないところに行く時は
本当に困った。
現地で人に道を尋ねるという
ここら辺では珍しいことをした。
しかもこの地図は
毎日毎日書いてることが変わる。
今度は白雲峠が地中にあったりね。
元々方向音痴なのもあって
朝方に帰ることが多くなった。
文句を言いつけても
今はそれが一番高性能だとか何とか言われて
替えて貰えない。
これが上と下ってやつか。
下の私は上の言うことを聞かなきゃいけない。
上の言うことが真実であり事実であると
信じて疑ってはいけない。
どれだけクソみたいな地図を渡されてもね。
"Good Midnight!"
藍色のマフラーが風になびく。
日はだいぶ沈み、
夜が近づいていた。
今日は何時に帰れるんだろ。
そんなことを考えながら
冷たい空気の空を走った。
4/6/2025, 4:23:02 PM