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 共通認識されている『甘酸っぱい恋愛』がわからないまま大人になった。臓腑も縮むレモン味を横目に日々を通り過ぎてきた。

 そして今、唐突に結論に至る。

 糖も酸も、過ぎれば骨をも溶かすのだ。

 その毒性に、身を明け渡すなど馬鹿馬鹿しい。

 小慣れた嘲笑が喉を擽る。味のない言葉を舌がおぼえている。

 枯渇と嫌悪のその先は、光は、月の裏は住処にならない。

 粘性の高い泥濘を、知った気になっておそれている。



『恋か、愛か、それとも』

6/4/2025, 5:08:58 PM