瞳をとじて と やさしい嘘 です
瞳をとじて
「…ん」
ふと目が覚めて、何時かを確認するのに、腕を伸ばし枕元にある時計を見ると
「…3時か」
起きるにはまだまだ早い時間。
隣で寝ているキミが身じろぎしたので、起こしてしまったのかと顔を見ると、キミは瞳をとじている。
「良かった」
ホッと胸をなでおろし、もう一度寝るため伸ばしていた腕を元に戻すと、キミの手に触れた。
「………」
手に触れてもキミが目を覚ます様子はない。
「…いいよね」
俺はキミの手をそっと握ると、再び瞳を閉じたのだった。
やさしい嘘
「ごめん、残業になったから、会えない」
仕事終わり、彼の家に向かおうとした矢先に入った、彼からの連絡。
「そっか、残念。お疲れさま」
そう返事をしたけど、ごめんね、会えない理由。あなたのやさしい嘘だって知ってるんだ。
だってね、あなたの会社の方から
「具合が悪くて早退した」
って教えてもらったの。
以前、社外であなたと会ったとき、一緒にいた方と連絡先を交換しておいて良かった。
私にうつしたり、看病してもらったり、迷惑をかけたら悪い。って思って嘘を言ったんだろうけど、私は、頼ってほしいんだよ。
来てほしくないだろうけど、それを伝えに行くね。
私を想ってやさしい嘘をつく、あなたのことが大好きだから。
1/25/2025, 9:43:49 AM