小音葉

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咲き乱れる花、唄う川
少し俯いて、差し込む朝日に頭を撫でてもらう
お早う、挨拶は欠かしてはダメ
誰かにそう教わったわ

咲き乱れる花々も、鳥達も
隣家の皆様もご機嫌よう
向かいの家には綺麗なお姉さんが一人、住んでいて
煌めく指輪を付けているのよ
いつか読んだ夢物語、素敵な素敵な約束の証
白い王子様
私のところにも来てくれないかしら
素敵な街なの、素敵な家なのよ

籠を手に持ったら出掛けるわ
私だって、もう子どもじゃない
顔をくしゃくしゃにして追いかけて来たあの子とは違う
そういえば、今日はいないのね
どんな顔をしていたかしら
何の話を、していたかしら

ともあれ今日はあなた、とびきりのお客様
久しぶりのお友達に、優しいこの街を案内したいの
付いてきて、どうか手を離さないでね
逸れてしまえば、小さな私じゃ見つけられない

見上げる、肩越しのサルビア
強い日差しに遮られて、きっと微笑んでいたのでしょう
そう、抱き締めてくれたはずなのよ
私は間で足ぶらり
繋いでいたの、祈ったのよ

あなたでしょう?
あなたなのよね?

(終わり、また初まる、)

3/12/2025, 12:35:52 PM