星明かり
月がない夜は、
とても静かだ。
太陽は余りにも眩しくて、
月は美し過ぎるから。
月のない夜に、
ボクは、星明かりに見守られ、
少しだけ、微笑んでみる。
月の輝く夜には、
見ることが叶わない、
星の瞬きは、
まるでガラスの欠片の様に、
儚く、美しくて。
人の欲望と欲望が、
汚泥のように揺蕩う、
醜く汚い、この世だけど。
夜の闇は、
偽りの笑顔も、虚栄の街も、
隠してくれるから。
優しく、悲しい、
星明かりの下で。
何の役にも立たない、
影のようなボクも、
少しだけ、赦される気がした。
星の煌めきは、
ボクの心に、小さな小さな、
傷を刻み、痛みを与える。
キラキラと。チクチクと。
それでもボクは、星を眺める。
星明かりに見守られて、
ボクは、そっと呟く。
…お願い。君を忘れさせて。
太陽のように暖かく、
月のように優しい君は、
道端の小石の様に、
誰の目にも留まらない、
有りふれた存在のボクには、
決して手が届かないから。
太陽も月も見えない、
星明かりだけの夜空の下で。
ボクは、独りでも生きていける。と、
そっと、目を閉じた。
4/20/2025, 5:06:02 PM