明日にはいない人

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最近は、出勤時間の一時間前に家を出て会社近くの公園でゆっくり朝食を食べたりする。

そこは人も少なく、青々とした葉桜の桜並木が風に揺れ、公園の直ぐ側には大きな川がありゆったりと水が流れている。

木陰になっているベンチを探して、ひと目もないのでドカッと座り足を組む。かばんから朝食用にとコンビニで買ったサンドイッチを取り出して食べる。

いつの間にか鳩と雀が集団で近くの砂利の地面をつついていた。何もやらないぞと軽く足を動かすと海の引き波みたいに鳥たちが移動した。

時折どこかからリーンリーンと風鈴の音が聞こえる。夏にはまだ早いが春と言うにはもう遅いうっすら汗ばむような気温だ。

サンドイッチを食べ終え、始業の30分前になるまでぼーっとする。あと15分ほどだ。

木陰にいるのにぽかぽかと暖かさを感じる。春と夏の間。梅雨と呼ばれる時期だけれど今日は雲ひとつない晴天だ。

ベンチから見える川が涼しげで足を浸せたらきっと気持ちいいだろうなと思う。

風が吹くたびになる風鈴が酷く夏を連想させる。そこまで猛暑ではないのに頭の中で半袖短パンの少年たちが目の前の川ではしゃいでいるのが想像できた。

もうすぐ夏だ。

この暖かい日差しも憎くなる日が近いだろう。

リーンリーンと鳴る風鈴の音を聞いてから、重い腰を上げて手を上にあげて伸びをする。

はあ、とため息をついて会社へと向かった。

6/10/2024, 3:21:05 AM