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君に会いたくて(オリジナル)

久しぶりに大好きな人に会える用ができた。
会えるのはよろしくない事でもあるのだが、ちょっと嬉しい気持ちで電車に乗った。
最寄り駅から徒歩10分。
ドアベルを鳴らして入室する。
1時間ほど待って、名前を呼ばれた。
「今日はどうしました」
白衣を着た禿頭のお爺さんが、丸椅子をくるりと回して私に向き直った。
「指の皮が剥けて指紋がなくなってきちゃって」
私が指紋の消えた手を差し出すと、彼は顔をしかめ、
「こんなになるまで放っておかない!なんでもっと早く来なかったの」
と叱ってくれた。
これこれ!と、私は嬉しくなる。
これしきのことで医者にかかるのは忙しい先生に悪いと思ってしまう私を、いつもこの一言で安心させてくれる、大好きな皮膚科の先生。
皮膚に疾患がないと会えないし、名医なので薬がとても効く。すぐに治って通えなくなってしまうのだ。
今回、会うのは5年ぶりだったが、元気そうで安心した。
次はいつ会えるだろう。
相手は医者なので、会えない=健康怪我なし、に越したことはないのだけれど。
「ちゃんと聞いてる?!」
「はいっ!聞いてます!」
その後もずっと叱り口調で、症状や痛み痒み具合を心配してくれて、とても良かった。
私は満足して家路についた。

1/19/2026, 1:38:22 PM