喜楽ここあ

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「どうすればいいの?」


母親に連れてこられたレストラン。
窓際の席に案内されて、椅子に座った。
しばらくして、私の目の前に見知らぬおじさんが立ち止まった。

「初めまして」

そう言って席に座り、母親と親しげに話すおじさんを、不機嫌そうに見つめた。


「出来ればこれから君のことを知って、いつかお父さんになれたらと思っているんだ」

突然の事で、頭が働かない。お父さんというワードだけが、頭の中でぐるぐると回り出した。


「突然言われてもびっくりするよね。でも、もうすぐ1年生だから、おじさんが言ってる意味は…分かるよね?」

不安そうな、そして優しげな笑顔を浮かべたおじさんが目を逸らさずじっと私を見つめてきたが、耐えきれず私から逸らした。

そんな私の姿を見た母親は、私の肩に片手をおき、ゆっくりとさすった。

「時間はたっぷりあるから、ゆっくりまたお話しよう。今日は突然でごめんね」

反射的におじさんのことは、好きになれなかった。大好きなお母さんを取られたような気持ちになったからだ。


幼かった私は、どうすることも出来ず、大人の時間の中に巻き込まれていった。


おじさんがお父さんに変わるのは、もう少しあとの話。

11/22/2024, 12:26:08 AM