Ayumu

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 あの頃付き合っていた君は今、いったいなにをしているのだろう。

 たまに、思い返すことがある。
 お互い眩しいほど一途で若くて、愛さえあればなんでもできる、乗り越えられると信じて突き進んで、着いた先は不幸のスタート地点だった。

 何度怒りをぶつけ合い、泣き合い、傷つけ合っただろう。
 どちらかだけが悪いわけではなかった。ほんのわずかから始まったすれ違いが、気づけば軌道修正の効かないところまで進んでしまっていた。

『もう、いや……もうあなたの顔は見たくない! 消えて、私の前から消えてよ!』

 その言葉を叫んだとき、自らもズタズタに切り刻まれていたに違いない。深い悲しみが見え隠れしていたのはきっと、そう。
 ――これらはすべて、距離を置き、長い時間が経ったからこそ見えたものだ。


 今は、少なくとも自分は新たな出会いを迎えて結婚をして、可愛い子どもも授かった。きっと、君と過ごした日々がなければ得られなかった。

 会っても仕方ない。向こうは忘れたい過去のままでいたいかもしれない。
 それでも叶うなら、今の君を一目でもいいから見てみたいと思う。


お題:君は今

2/26/2023, 4:41:44 PM