久々に書きました。BLです、ご注意ください。
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【愛する、それ故に】
大事な幼馴染であり、尊敬できる親友であり、将来を期待されている魔法士であり、とても優秀なクラスメイト。そして最愛の人でもある彼を、僕は騙し続ける。
「まったく。お前は俺がいないと本当にだめだな」
そう苦笑しながらも少し満足そうな彼を、傷付けるようなことを、僕はしたくない。
本当は世話を焼いてもらう必要なんてなくても。僕の方がずっと魔力が多くて、魔法が強くても。僕は何もできないふりをして、彼に甘える。
魔法学校の主席も譲る。落ちこぼれと呼んでくれても構わない。
朝は起こしてもらって、寝癖を直してもらって、一緒に食事をして。授業がわからないと言って甘え、予定を忘れていたと言って甘え、そのたびに苦笑される。
「お前さ。俺がいなかったら生きていけないんじゃないの?」
そうだよ。その通り。ただ、君が思っているのとは少し意味合いが違うけど。
誰よりも何よりも大切な人。君と笑い合える日々をどれだけ大事に思っていることか。君に触れたい、触れて欲しい。けど、臆病な僕は手を伸ばすことを躊躇する。
君を愛しく思う気持ちを伝える勇気はまだないから。君の隣にいるために。誰よりも近くにいるために。僕は僕を封じ続ける。落ちこぼれであり続ける。
だってそうすれば、君は僕を見捨てられないって、知っているから。本当、世話焼きでお人好し。
大好きだよ。愛してる。
10/8/2025, 10:42:30 AM