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本日のテーマ『逆さま』

さかさま……でいいんだよな?と意味を調べる。
・物事の上下・左右・前後・裏表などの関係が本来の状態とは反対になっていること、またそのさま
・道理や事実に反すること、またそのさま
なるほど……意味不明だ……
なので、ここは逆向きに生きている俺の生態を披露する。
なにしろ俺は、いわゆる『逆張り』が大好きだ。これは幼い頃からの習性なので矯正しようがない。直せと言われても、こじれきった今となってはその方法も分からない。
自分は特別な人間じゃないと頭では分かっていても、人と同じ選択をするのが嫌いなのだ。
だからついついいらんことを強迫観念に駆られるようにやって痛い目を見てしまう。
たとえば中学生の頃、『犬か猫のどちらが好きですか?』という質問が授業の中で出た。
ちなみにうちでは猫を飼っていた。にゃあという名前のおっとりとした性格の雌猫だ。俺はにゃあが好きだった。
なので当然、猫が好きなほうに挙手をするつもりだったものの、当時は今の猫人気と違って犬が圧倒的に人気だった。猫が好きなやつなんて恰好悪いって空気があったのだ。なので計算できる人ならここは犬好きの時に挙手するのが得策であろう。
しかし、それでも俺は猫好きな人~?の時に手を挙げた。男子は俺ひとりで、女子ですら3人くらいしかいなかった。30名近くいるクラスメイトの中で。
むろん、俺は皆から馬鹿にされた。
「猫、好きなん?」
「猫とかださい」
「猫の名前なんていうの?」
「にゃあ……」
「にゃあて」
「猫好きって顔かよ」
顔は関係ないだろってつっこみたくなる気持ちを抑えつつ、いつか猫好きの時代が来ると信じていた。
すると、どうだ。今となっては猫好きが我が物顔でSNSや動画投稿サイトに可愛い猫の画像や映像を載せている。
時代が俺にようやく追いついたって感じだ。

そして今でも時代に逆らう感じで『逆さま』に生きている。
キャッシュレス決済ですらようやく手を出したのは今年になってからだ。
バイト先の後輩達に電気代の節約になりますよと親切心でオススメされた電気毛布ですら、俺にはあったかい寝袋があるからと頑なに購入せずに暮らしている。
LGBTだって同性愛者に間違われたくないからスーパー銭湯に行く時は鍵のついた輪っかをつける位置に気を遣う。
そんな偏屈者で差別主義者の俺が、この先生き残るにはどうすればいいのかと考えてみる。
なにはともあれ、最も必要なのは自活能力であろう。
畑で野菜を育てる能力と知識、民芸品の人形などを作成できる能力を身につけ、町におりて人形を米と交換してもらえるコミュ力を養い、そして鹿やイノシシを倒す戦法を学ぶのと同時に狩猟免許とライフル銃も必要になってくる。
考えるだけで途方もない工程の多さに眩暈がしてくる。
だが、人と『逆さま』の生き方を選んでいる以上、これらをこなして生きていかねばならない。
さしあたって、狩猟免許の取得に向けての勉強と農業の知識を学ぼうと思う。
いつか偏屈な爺さんがユーチューブで山小屋生活を配信していたら、そのときは俺だと思って応援して欲しい。

12/6/2024, 2:25:09 PM