・お題【こんな夢を見た】
宵闇の霧、紫の閃光、ありもしない嬌声。
蛍光色の輝きが映し出したネオン街は、玩具のような面を見せている。
その中に私が居る。がらんどうの空き地で、不思議な自販機を前に立っている。
不思議な自販機は、古典的な髭剃りやら、ミニチュア化された唐傘を売っていた。
私は、その内の商品のひとつを購入すると、ゲームのアイテムを使うかの如く、使い方も分からない商品を一瞬で使ってみせた。
①場面が瞬間的に変化する
ネオン街の一角、がらんどうの空き地には、二人の少女が転がっていた。
その内の少女の一人、私は、頭の中で溢れ出す快楽物質に星型と化した目を回しながら、もう一人の少女に対して腑抜けた声で話しかけていた。
少女は語る。曰く、私の使用した商品は、そういう目的の商品、なのだとか。
腑抜けた私は、その商品への認識を深めることもせずに、ヘラヘラとした笑いで返す。
楽しい。楽しいのだ。退屈なのに笑えてくる。
蕩けるような快感。味わったこともない快楽。
ドロドロと溶け落ちていく、固形物だった物。
それに身を任せて、胎児のように体を丸くする。
②過程の消失:記憶だけの付与
少女に手を引かれ、蕩けた頭のままでネオン街の隅々をのらりくらり。
何処に行っても虹色と紫が続いて、不思議と笑いが大きくなる。
少女のうんざりとした表情にも気づかずに、少女の腕にも見える木の枝を振り回しながら、私は意気揚々とその足を進めた。
③場面が瞬間的に変化する
廃洋館の一室、大階段を超えた先。
出迎えとして現れたパペットに連れられて、館の主を名乗る者の部屋の前へとやってきた三人。
パペットを階段から突き落とすと、部屋の扉を蹴破り、人気のないその部屋を荒らしに荒らす。
屑石と、宝石と、あと金色のコイン。
好きな物を漁っては奪い、鞄に詰めこむ。
④記憶の混在:再現出来ない濁流
馬鹿な一人に起こされ、人形の群れは流れを作り出した。
川を流れていく魚のように、人形は三人を嘲笑うかのように部屋を埋め尽くす。
馬鹿は潰れた。脱落だ。
二人目を人形の方へと押し出して、三人目は階段を目指す。
しかし、失敗した。
階段の下には、先に突き落としたパペットが待ち受けているのだ。
階段側の壁、僅かな出っ張りに両手の指を掛けて必死に人形が流れ去るのを待つ。
待つ。
待つ。
耐える。
待ち続ける。
必死に堪える。
まだ。
まだ。
終わらない。
続く。
耐える。
堪える。
ちぎれる。
脱落だ。
重力に身を任せて、階段へと落ちていく。
三人目、つまり私は、階段。
⑤夢の終了:現実への回帰
人形の濁流へと、見知った部屋で、底に、は。
1/23/2024, 11:14:19 AM