星琳

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 私が欲しいものは常に妹が持っていた。お母さんからの注目が特に私の欲しかったもの。妹はいつもお母さんの側にいて、私はお父さんのところにいる。お母さんのところに行くと妹に怒鳴られ暴力を振るわれる。幼い時からそう。いつもお母さんは遠くにいる。どれだけ成長しても暴力がなくなっても睨まれ続ける。だからお母さんは欲しくても遠くにあって手に入らないもの。ずっと寂しかった。悔しかった。でもそんなこと言ったら怒られる気がした。だから何も言わずにいた。何で気づいてくれないのかな。私に興味が無いのかな。誰も気づいてくれない。でも自分から晒す勇気もない。何でこんなに臆病なのだろうか。私は自分が嫌になる。

 私が欲しい遠くのものは他にもある。自分への自信や勇気。どんなに欲しても手に入らなかった。ずっと遠くに見えてるのに、ギリギリ見える位置にあるのに私には無理だと思って取りに行けないもの。誰かお手本が欲しい。

 あぁ。なんてことだ。気づきたくもないことに気づいてしまった。私はなんて欲深いのだろう。欲しいものをしっかり欲しいと認識した途端、他にも欲しいものが増えてしまった。そんなこと誰かに知られれば愚かで下品だと言われるかもしれないのに。なのに欲しいものを自覚して手に入れようと目標を立ててみると心が踊る。欲とは誰に何を言われても私には必要なものなのだろうと思った。

 そして私はこの日を振り返るといつも常に遠いと思っていたものは案外近くにもあるということに気づく良いきっかけであったと思うのだ。

 読者の皆様にもこのことはよく考えて欲しい。皆さんが自分からは遠くて届くはずがないと諦めてしまったものが本当に何をしても届かないほど遠くにあるのかを。きっと近くにあるものもあるから。そしてそのことを身近で悩む人がいたら教えてあげて欲しい。諦めて後悔してしまう前に。

最後まで読んでくださった読者様に感謝を。
#遠く

2/8/2025, 5:13:04 PM