ゆかぽんたす

Open App

まただ。
また彼女の夢を見て目が覚める。あの泣いている顔が脳裏から絶対に離れない。無理もない。泣かせたのは、俺だから。
寝室を出てキッチンへ向かった。1杯の水を飲む。思った以上にうなされていたらしい。少し汗をかいていた。
いつまでこんな夢を見るのだろうか。彼女との思い出は素晴らしいものばかりだったのに今じゃ悪夢と化して俺を苦しめる。あの時どうすれば正解だったのか。そんなこと今考えても、なんの意味もないのに。
携帯を操作して彼女の連絡先を表示した。例えば今この番号にかけて相手が応答したとして。俺は何を伝えれば良いのだろうか。ごめんも愛してるも、そんな言葉はきっと彼女は欲しくないだろう。そう考えたらもう連絡をすることは許されないことだと分かった。これ以上苦しませないで。脳裏に焼き付いた泣き顔の彼女が俺に訴えた。だから大人しく携帯を手から離した。
窓から白い月が見えた。間もなく夜明けだ。今日も熟睡できなかった。いつになったら、思い出から縛られることなく日々を送れるのだろうか。
いつになったら、君を赦すことができるのだろうか。

11/10/2023, 8:51:18 AM