貴方は、夢の話をするのが好きだった。
他愛もない昼休み、コンビニの帰り道、不意に思い出した
みたいに話す。
「昨日、また同じ夢を見たんですよね笑」
朝の駅。人混みの中で、誰かを探してる夢。声を掛けたいのに名前が思い出せないまま、目が覚める。
「変な夢ですよね。」
そう言って微笑む貴方の横顔を、私は見つめていた。鼻筋が
通っていて、髪はサラサラで。かっこいい。それだけだ。
でも、変なのは、その夢を聞く度に、胸がきゅっと苦しくなる私の方だ。
私は貴方が好き。でもその想いは、貴方にとって重すぎる気がして、言葉に出来ない。せっかく積み上げてきたこの関係が
壊れるのが怖くて、"友達"の仮面を外せずにいる。
放課後、夕焼けに染る道を並んで歩く。すると突然、貴方が足を止めた。
「もし、その夢に出てくる人が現実にいたらどうしますか?」
不意打ちの質問に、心臓が跳ねた。私は少し考えるふりをして答えた。
「探しますかね…ちゃんと顔みて、話してみたい…」
貴方は「そうですね」と言って、少しだけ寂しそうに笑った。
その夜、私も夢を見た。朝の駅で立ち尽くす貴方。私は人混みをかき分けて、貴方の名前を呼ぶ。振り向いた貴方は、いつものようにほっとした顔で笑うのに、距離は埋まらない。まるで床にヒビが入ったかのように。
目が覚めた時、胸が痛かった。
次の日、貴方はいつもより静かで、昼休みにぽつりと言った。
「あの…あの夢さ、多分、分かったんですよ。」
私は笑顔を作って、「誰ですか?」って聞いた。本当は答え
なんて聞きたくない。
貴方は空を見上げて、言う。
「すごく、近くにいる人でした。」
なんて優しい顔なんだろう。なんて尊い人なんだろう。そう、思った。けど、それ以上は聞けなかった。私じゃないかもしれないから…ほんと、自分勝手。でも心の奥底で、私かも?って期待している。その曖昧さにすがりつくしか無かった。
貴方が見た夢の中で、私はただの背景かもしれない。
それでもいい。貴方の現実に、こうして隣に居られるのなら。
この片想いは、
貴方が目を覚ますその日まで、私の夢でいい___
テーマ 君が見た夢
12/16/2025, 11:52:33 AM