中宮雷火

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【ファム・ファタール】

運命は、最初から決まっていた。
あの日、君が消えた日、その日から年月が経っていった。
未だに忘れられない。
彼女の笑った顔、名前を呼ぶ声、特徴的な瞳、
最後の言葉。
ずっと、呪いのように心臓を握っているのだ。

これも、最初から決まっていたことなのか?

日々は、当たり前に進んでいく。
しかし、自分だけは、あの日から何もかも動いていないのだ。
それは壊れた時計みたいに。
それはホルマリン漬けのように。
何気ない日々にヒビが入ってから、自分がどんどんおかしくなるのを感じた。
忘れられなくて、悔しくて、怒りがあって、寂しくて。
どんどん、壊れていく。
皆が言う「幸せ」から外れていく。
これは、神様が決めたプラン通りである。

だけど、思うのだ。
神様が決めたプランの中で、君はよくも絵の具をかき混ぜてくれたね。
君は立派なファム・ファタールだよ、と。

8/7/2024, 3:08:05 PM