saiki.k

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あー!どこ行っちゃったんだろ。
仕事場を探しまくる。あっちのドア。こっちの会議室。食堂だって見た!

「なー!あいつ知らね?」
「え? あぁ、さっき玄関にいたよ。コンビニにでも行ったんじゃん」

すれ違った仲間に教えられて、さんきゅー! の声もそこそこ玄関に向けて駆けてって、こら走んな! と小学生みたいに偉い人に注意された。

ごめんなさいって言いつつ気持ちは玄関!
なのに! いない!

「なんでぇ…」

あ、コンビニ! そうだコンビニ! コンビニ行くって言ってた!
追いかけ…いやいや、左右まっすぐどっちの道にもコンビニある。 間違えたらすれ違っちゃうし、てかここで待ってれば良いじゃん。
…でも、
今すぐ会いたい、の!!

「考えろぉ〜おれぇ〜」

あいつが今日、今、行きそうなコンビニはどれだ? あそこのソフトクリーム好きだけど、まだおやつには早い。からあげか? でもちょっと絞らなきゃなーって言ってたし。飲み物だけなら仕事場にもある。じゃあ狙いは……

「は」

俺は走り出す。玄関を出て右に曲がってちょっと行ったとこのコンビニ。

「い…いたー!!!」
「お、なんだ。どうした」

あいつはとぼけた顔して手にした控えをひらひらさせてる。

「やっぱりー! 昨日サッカー試合取れたって言ってたからここにチケ代払いに来たと思った! もー! 探したよーっ、どこにもいないんだもん!」
「ちょっと払いに来ただけじゃん。どうせ時間になれば集合するんだし…なんか急ぎの用か?」
「え、よーお?」

よう。用。
えと…

「なんだっけ」

俺がそう言うと君はちょっとムカつくくらいの笑顔でこう言ったんだ。

「なんだよ、そんなに俺に会いたかったのか? お前ホント俺のこと好きな」



▼すれ違い



10/19/2023, 2:06:44 PM